最近新しくわが社に取り入れた3Dスキャニングアームの実験やら講習やら補助金を手に入れる為の報告書の作成やらでクリスマスからすごく忙しい設計部の小川です。
皆さん、明けましておめでとうございます!(遅すぎ!(笑))
上記の諸事情の為ブログの更新が大幅に遅れてしまいました。申し訳御座いません。
いつもはと言っても私がこのブログを投稿した時点ではまだ4件しかないのだが特定の工業機械の整備のポイントを紹介しているのですが、
今日はいつもと方針を変えてその3Dスキャニングアームを運用した3Dモデルの抽出の方法を紹介します。

目次

  • 1.そもそもポータブル3Dスキャンアームとは?
  • 2.事業の背景・目的と試作開発の概要
  • 3.設置例・設定方法
  • 4-1.CAM2とポイントプローブよる測定方法
  • 4-2.CAM2とレーザープローブによる測定方法
  • 4-1-a.CAM2とポイントプローブよる測定方法(3Dモデルをインポートした場合)
  • 4-2-a.CAM2とレーザープローブによる測定方法(3Dモデルをインポートした場合)
  • 4-3.Wrapとレーザープローブによる測定方法
  • 5.まとめ

 

 

1.そもそもポータブル3Dスキャンアームとは?

3Dスキャン用の機械アームで、アームの先端部分のプローブを物体に接触させて点を取ったり、レーザーを照射して物体の形状を点画として読み込むことで、読み取ったデータを直ぐに3Dモデル化したり、あらかじめ作られた3Dモデルと作成した機械部品の寸法を比較することができます。
入手困難な機械設備の保守部品の立体的情報を短時間で取り込み・検証する事が導入の目的であり、従来の手描きスケッチから3D-CADへの展開により、3~4日⇒1h程度に短縮出来、データを直接取り込み・検証することが可能と思われます。

アーム全体像

ファロージャパン社製ポータブル3Dスキャンアーム

アームの先端部を物体に接触させてデータを接触測定するポイントプローブ(①)と2色のレーザーを照射して光を当てた部分を点画として立体データを読み込むレーザーラインプローブ(②)を用いて測定を行います。

先端部の拡大画像

・①のポイントプローブは球状になっている先端の白い部分に測定物を接触させるとで点をとることが出来、それによってとられた複数の点の位置、距離、並び方によって形状や寸法を測ることができます。

・②のレーザーラインプローブは②-1から十字型の赤いレーザーを、②-2から縦長の緑のレーザーを照射し、物体に当てた時その光が重なっている部分を点画データとして読み取ります
(下記の画像参照)

unnamed (13)

レーザーラインプローブによるレーザー照射

測定物との距離を調整すると重なるようになりその部分の点画データを読み取ることができます。
またポイントプローブとレーザーラインプローブは取外し、付け替えが可能で下記の画像の延長プローブらに付け替えることができます。

IMG_3320

延長プローブキット

インチマグネットマウント(左)とそれを使って定盤にとり付けたアーム(右)

インチマグネットマウント(左)とそれを使って定盤にとり付けたアーム(右)

フォールディングトライポッド(左)とそれに取り付けたアーム(右)

フォールディングトライポッド(左)とそれに取り付けたアーム(右

これらの台に3Dスキャンアームを設置し使用します。
インチマグネットマウントは底がマグネット式になっておりアームを鉄製の定盤に固定することが出来ます。
フォールディングトライポッドは測定に使用する定盤が鉄製でない時に横にセットしてアームを取付けることでアームの位置を保ちながら測定できます。

CAM2起動時

ファロージャパン社製ソフトウェアCAM2Mesure2018、起動時の画面

(以下CAM2と記載)
ポータブル3Dスキャンアームで読み込んだデータで面の寸法を計測できるソフトです。
接触検査、非接触3Dスキャン検査どちらにも対応します。
測定物の見本の3Dモデルをインポートした後に測定すれば測定した面データをそのインポートした3Dモデルに重ね合わせて測定物と3Dモデルの寸法の比較をすることができます。(比較データでレポートを自動的に作ることもできます)

Geomagic Wrap起動時

3Dシステムズ社製ソフトウェアGomagic Wrap

(以下Wrapと記載)
レーザーラインプローブによる非接触3Dスキャンを物体に行って取った点群データをポリゴンに変換し更にシェイプフィットサーフェス(小さな境界を持つ四角形のパッチの集合体)化して他のCAD・CAMソフトでも使えるようにすることが出来ます。

2.事業の背景・目的と試作開発の概要

当社の予防保全の上流工程では、手書きスケッチで現物確認する工程が必須であるが、人為的なミスが入り込む余地が存在した。また手書きスケッチの工程自体も時間が掛かり納期への影響も大きいので、当社が補助事業で目指す予防保全の実現のためには、工程改善が必要でした。
本補助事業では経営革新・経営力向上計画を具体的に推進する為に、業界でも革新的な取り組みとなる「よろず保守」体制の確立のためのポータブル3Dスキャンアームを活用した設備保全環境を構築(以下、「よろず保守」)しました。当社は工場設備保全というニッチな分野でコスト削減と生産性向上で顧客に貢献し、更なる販路開拓を目指しています。

3.設置例・設定方法

ではこのアームの運用方法を下記画像の測定物を例にして紹介します

IMG_0154

定盤に固定されたデモ用の測定物(CAM2による測定時)

IMG_0160

定盤に固定されたデモ用の測定物(Wrapによる測定時)

固定する面積はなるべく少なく、尚且つピッグを当ててもグラつかないようにしっかり固定したほうが良いです。
定盤または固定された(揺らすことが出来ない且つ万力や固定器具を設置できる物が望ましい)台にアームと測定物を取り付け、CAM2やWrapのソフトがインストールされたパソコンをアームに接続します。

IMG_0153

アーム一式の設置例

①アーム
②パソコン
③固定された測定物
④孔補正用金具

測定物と孔補正用金具は構造上アームからの距離が適正でないと上手く測定できません。

そのあと④の金具でピッグプローブの孔補正を行います。
これはアームを移動させた時や再設置する時に毎回行う必要があります。
アームの位置が変わると当然原点や高さも変わる為毎回孔補正を行って原点指定しなければ前の原点データが残ってしまい測定に支障をきたすからです。

4-1.CAM2とピッグプローブよる測定方法

ピッグプローブを測定物に当てて点を幾つか取り、面を測定します

CAM2デモ ピッグプローブ編測定1改

ピッグプローブで測定物の上面から複数の点を指定し基準となる平面を測定します。         これにより基準となる平面を測定できました。

CAM2デモ ピッグプローブ編測定2改

次に斜面の部分の点を複数取り、円錐面として測定します             先ほど基準として測定した平面に合わせて円水面が作成されました。

CAM2デモ ピッグプローブ編

同様に他の面を測定します。

CAM2デモ ピッグプローブ編レポートまとめ

それらの測定結果をレポート化したものです。

4-2.CAM2とレーザープローブによる測定方法

レーザープローブで測定物をスキャニングし、点群として読み取ります。

IMG_0144

レーザースキャンによる測定の様子

CAM2デモ レーザープローブ編測定1

レーザースキャンで読み取られた点群                 余分な点群を削除した後下部の円筒面から円筒面を抽出します。

CAM2デモ レーザープローブ編測定2

次にその上の面から面を抽出します。         これにより下部の円筒部の高さと直径の計測ができるようになりました。

点群読み取り画像19

同様に他の面も抽出していきます。

CAM2デモ ピッグプローブ編レポートまとめ

上記の抽出した面のレポート化したものです。

4-1-a.CAM2とピッグプローブよる測定方法(3Dモデルをインポートした場合)

見本として作成した測定物の3DCADデータを予めCAM2Mesure2018にインポートしておきそれから面の要素を指定し、順番に測定物の面をピックプローブで接触測定します。

CAM2Mesure2018 デモ改 参考モデル画像

測定品の3DモデルをWrapにインポートしたもの

まずインポートした3Dモデルの面から要素を指定してその後順番にポイントプローブでそれぞれの面を測定します。

CAM2デモ CADモデルをインポートする場合 要素選択編6

3Dモデルから面要素を選択する様子

これにより測定した後に3Dモデルの寸法と実際の測定値のデータのずれをくらべやすくなります
次にポイントプローブを用いて実際の測定物から指定した面要素に相当するそれぞれの面を順番に測定します。

CAM2デモ CADモデルをインポートする場合 要素測定結果

測定した面データ

この段階では3Dモデルと測定した面データの位置がかなり離れていて比較できない為アライメント(重ね合わせ)する為に測定した面データに基準の軸となる線を付け足し、新たに座標系を作ります。

CAM2デモ CADモデルをインポートする場合 位置合わせの為の要素作成12

指定した面要素が付いている3Dモデルと測定した面データに座標系を追加したもの。

その後それぞれの座標系を用いて3Dモデルと測定した面データを重ね合わせます。

CAM2デモ CADモデルをインポートする場合 位置合わせの為の要素作成14

測定した面データとインポートした3DCADデータを重ね合わせした時の画像

そしてレポート化して下記の画像のように3Dモデルと実際の測定データの数値の差を見ることが出来ます。(まだ検証・研究の段階の為今回は計り方悪かったのか大分ズレてますが・・・)

CAM2デモ CADモデルをインポートする場合 レポート

上記の測定結果をレポート化したもの

4-2-a.CAM2とレーザープローブによる測定方法(3Dモデルをインポートした場合)

見本として作成した測定物の3DCADデータを予めCAM2Mesure2018にインポートしておき,今度はレーザープローブで測定物をスキャニングし、点群として読み取った後その点群を3DCADデータに重ね合わせます。

IMG_0161

レーザースキャンの様子その2

また、部屋を暗くしたほうが読み込みやすいです。(そうしないと日光や部屋のライトの光の反射でレーザーの光が薄まって読み込みにくくなる為)

CCAM2デモ CADモデルをインポートする場合点群測定設定2

点群を測定し終えた時に出てくる設定表とポップアップ

この時にアライメントを自動的に実行しますかという確認のポップアップではいを押すと自動的にアライメント(重ね合わせ)を行うことができます。

CCAM2デモ CADモデルをインポートする場合 点群単体2

実際の点群

CCAM2デモ CADモデルをインポートする場合 測定し自動的にモデルと合わさった点群2 改

3Dモデルにアライメント(重ね合わせ)した点群

このように測定した点群を3Dモデルに瞬時にアライメント(重ね合わせ)して比較することができます。
点群として読み取った色が緑に近いほど読み取ったデータの値がインポートした3DCADデータの寸法に近いことを意味してると思われます。

CCAM2デモ CADモデルをインポートする場合 点群レポート

アライメント(重ね合わせ)した点群のレポート

4-3.Wrapとレーザープローブによる測定方法

Gomagic Wrapを用いて測定物をアームのレーザースキャンで3Dスキャンし点群を取った後それらをポリゴン化します。
その後測定物を固定する為の台ごとスキャニングしている事やレーザーの反射によって、出来た余分なポリゴンや不自然なバリ部分、欠けている部分や穴あきを埋めた後シェイプフィットサーフェス化して他のCAD・CAMソフトでも使用可能な状態にします

Gomagic wrap デモ 測定物の表と裏

定盤に固定されたデモ用の測定物(Wrapによる測定時)(左:表、右:裏)

今回はより広範囲を一気に読み取る必要がある為固定方法を変えています。

IMG_0149

レーザースキャンによる測定の様子(Wrapによる測定時)

Gomagic wrap デモ 点画の表と裏

レーザースキャンで読み取られた点群(左:表、右:裏)

この後余分な点を削除して形を整えた後他の向きからスキャニングして得た点群と合成します。
(下記の画像2つを参照)

ポリゴン読み取り画面改の改8

測定物の 向きと位置を変えて再度点群を読み取った時の様子

この画像の場合灰色の部分は最初に読み取った時の点群を加工したもので、緑や黄色の点群は新しく読み取ったものです。
そしてそれぞれの点群にそれぞれ重なる部分の点を選択し、合成します。(下記の画像参照)

ポリゴン読み取り画面改の改9

点群の合成の様子

ポリゴン読み取り画面改の改12

合成後の点群

問題がなければこの後ポリゴン化します。

ポリゴン読み取り画面改の改14

点群のポリゴン化

この後不自然なエッジや余分なポリゴンの板を削除したり穴を埋める等の修正を行った後シェイプフィットして他の3DCADソフトでも使えるようにします。

ポリゴン読み取り画面改の改23

ポリゴンモデルのシェイプフィット化

この状態にして保存する時にファイル形式を変えた状態で保存すれば他の3DCADでも使用できるようになります。

Geomagic Wrap 2017 デモ改 点の結合済み SOLIDWORKSの画像

solid works にインプットされたモデル

5.まとめ

このようにポータブル3Dスキャンアームを用いればサーフェスを容易に作成し色々な3DCADで編集や寸法の測定が出来る為、色々な機械部品の寸法測定3Dモデルの再現、一部が欠けた部品の復元モデルの作成が行えるようになり、
検査・設計の時間を短縮できると思われます。

次回のブログでは弊社が実際にポータブル3Dスキャンアームで行った測定実験の様子と分析結果を紹介します。

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「機械保全・修理110番」編集部

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新事業・ポータブル3Dスキャンアーム(設備紹介編)


2019.04.24

「機械保全・修理110番」編集部 「機械保全・修理110番」編集部


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